ふたすじの道

尋常小学校の卒儀式。あおーげーばー、とおーとし、わがしのおーんー、続いてきみーがーよーはーちーよーにーやちよーにー 私が全校生の前で挨拶をする事になった。緊張はした。 つねちゃんと私は、学年でも、1番2番を競う程の成績だった。何故に私が? 式後、つねちゃんと話した。私は、東京の女学校に行くけど、つねちゃんは?私?私は水呑み百姓の子、水呑み百姓する。母ちゃんの様に野良仕事。 つねちゃん!人には、持って生まれた定めはある、確かにあると知ったわ!でもね、その定め、運命を変えて往くのは、自分自身のこころ!ここ!私は、左胸に手を当てて、つねちゃんの左胸にも手を当てた。うん!けいちゃん、私は、それを、考えています、そして、考え続けるわ!抱きあった。二人とも、涙が留まらなかった。でもね、別れなければね、そうね!いざさらばよね! うん!元気でいてね! バイバイ!リツ!すべった!そよなら!常!さよなら、恵子!

ふたすじの道  終わり。