忍風カムイ外伝の外伝 救いたい

俺は、北の最果てを旅していた。神威岳は既に見た。父があの山の威容を知って俺を名付けた、姓は無い。ただ、カムイ、俺は只のカムイ。そんなことを考えていた時、突然、強烈な揺れが!平地を歩いて居た時。揺れは数分続き一旦は止んだ。しかし、その後も少しの揺れは続いた。俺は今、何を為すべきか?決まっている!殺すのが嫌になり抜け忍となった。同様に、死にそうな者が居るとしたら、救いたい!近くの村?阿寒湖畔!そこに、行って、救援!俺のとる道はそれのみ!矢張り!全家屋は倒壊している。人も出てきてはいない。最早、北海道のこの季節は寒い!倒壊しても、中には誰か居るかもしれない。俺は何度も何度も村を廻った。そこにあったもの、倒壊した、貧しき家屋に押し潰された骸のみ。生存者は居ない!すまない、本当にすまない!俺がもっと速く走れ、村に来ていれば救えた命もあった筈。俺は泣いた。己が無力さと、苦しんで逝った人々への鎮魂の涙だ。しかし、ここで留まるわけにはいかぬ。阿寒湖畔で、マリモを見つけた。生きていたのだな!持って帰りたいが、するとマリモは、死ぬ。生きて生きて生き抜くのだ、マリモ!俺も然り、この生ある限り歩み続ける。それがカムイの道。