かぐや姫 其一

私は満月の夕方、竹の節の間から、御父様が切られた狭間から取り出された。首も切られなかった。持って生まれた幸運の持ち主なのかも知れない。とまれ、御父様と御母様にかぐやと名付けられ、育てられた。普通に、野山を歩いて遊んでいた、春には蓮華の小道を歩き、夏には、川遊び御母様と共に、秋には御父様と赤トンボを、追いかけていた、きれーな、紅葉の中で、冬には雪が綺麗ではしゃいでいた。いつしか私はかぐや姫と名付けられる様になった。何故に木こりの娘が姫なのかは分からない。私が美しいと京の都にまで伝わったそうな。偉い宮人様方が私を嫁にとおこしなされた。父母は全て断り続けてくれました、私は、まだ齢十七。綺羅びやかな京の都の生活に耐えられるはずも無い。しかし、いずれ、子をなし、御父様、御母様には孫の顔を見せたい、恩に報いたい。ある満月の夜、近くの川のせせらぎで、月を眺めていた、すると、籠を持った方達が月の方からやって来て、言いました、やはり麗しき姫様、お美しゅうございます。月の上皇様、皇后様は姫様を探し続けて居られました。是非ともお帰りくださいませ、御両親、両陛下の身元に!成りませぬ、私にはこの世界で私を育て育んでくれた、両親が居ります。親は最早高齢、捨て置く訳には成りませぬ!近くで聞いていたのかしら父母が出て来て、言いました、月からの使者殿、儂らは最早余命幾ばくも御座いません。かぐやはこの地上の者では無い聡明さと、美しさを兼ね備える者、儂らとしても、如何に都人とて、手放せ御座いませんでした。よー分かりました。月のお姫様だったので御座いますな?かぐやよ、そなたと別れるのは辛い、死ぬ程辛い。しかし、わしらとて、何れ、近々消え逝く定め。誠のお父上、お母上の元にお戻りなされ、この地上に居ってもそなたと釣り合う者は居らん、身分にかかわらずのぅ。では、断腸の思いでは御座いますが、月の使者の殿方、姫様を御無事に月の両皇様にお願い申し上げます。相分かった。では姫様、お籠に!はい。御父様、御母様、私は決して忘れは致しません、お育て頂いた事、私への誠の愛を。では御健勝お祈り申し上げております。相分かった、そなたもな! 籠は物理法則をことごとく破り月に向かって進んで行った姫の目からは涙が、とまらず。見送る翁等も同様であつた。翁等は姫から見えなくなるまで見送り、そのままこときれたとされて御座います。