忍風カムイ外伝の外伝 座布団ヒラメ

俺は、ついに住み慣れた紀伊半島から、精神的にも別れた。最早、帰る事もあるまい。故郷は遠きにありて想うもの、そのままだ。俺は長崎平戸にやって来た、長い旅だった。この地はヒラメの産地、大体5kg以上の巨大ヒラメを座布団ヒラメと呼ぶらしい。俺は内陸地、伊賀で産まれ育った忍。海の事には詳しくは無いが、獲物を得る事には、丈ている筈だ。平戸の漁師と出会った。俺は漁師になりたい、この美しい海と共に生きていきたい、と告げた。そうか?カムイとやら?先ずはヒラメを採ってみなされ。俺はモリを持って海に潜った、忍法にもあれば、サヤカの海での経験もある。海底に、大きなヒラメ!モリで突けば傷物として安く売り買いされる、俺は一計を案じた。ならば、手取りしかあるまい。そっと泳ぎ寄り、いきなり上から鉄槌の一撃、死なん程度の。功を奏した。獲物を持って岸に上がった。雇い主の漁師は言った、びっくりぽん!意味は分から無いが、私は大きな獲物を得たようだ。10kgだ!これは凄い水揚げ、カムイよ、貴様ホントに素人か?左様、ズブの素人だ。信じられ無い!貴様程の腕なら、ずっと素潜り漁師としてやっていける、居てくれないかな?わかった、しかし、永久は約束出来ぬ、俺はさすらう事が定め。だから、いつ何時、東西南北の何処に動くか約束は出来ぬ、浮草かな?それで良い、先ずは居てくれ!あいわかった、暫し、居させてもらおうか?その線で頼む。
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