で、それから、約10年後、私は

高松に赴任中、和歌山でフェリーから、降りて、大阪を通り、妻の待つ奈良のアパートに、ウォークマンを聴きながら、後輩から買った三万円のナナハン、タイヤは前輪も後輪もツルツルでした。でそのトンネルに2300頃に突入、小雨が降っていました、80kmの速度警告灯がついた頃、いきなり、後輪が私の右の視界に、慌ててカウンターを切りました、次は左の視界に、後輪が!もう一回カウンターを切りましたが、また、右の視界に、後輪が!完全に滑って走ってた訳ですね。もう、だめ!私は、バイクの前に飛ばされ、体のまま滑り続けました。ヘルメットから、路面に叩きつけられました、ガリガリ、と路面から伝わる音、バウンと着いてくるバイクの音。私の後方では、滑り続けるナナハンの音が。これは、死ぬな、俺が止まった上にナナハンが乗るか、ひかれるかして!でも、私は、止まり、ナナハンも私の手前二メートルくらいで倒れていました。こんな時は、腕か足の骨もおれてるわな、でも、ナナハンを起こしてトンネルの外に出さないと!と思い、立てようとしましたが、案の定、片腕に力が入らない。何とか、もう片方の腕と身体全体でバイクを起こしました、すると、200mくらい、私のバイクの部品がばらまかれていました。トンネルから出て生還しました。

続く。