私の70年後

十年前に、突如出現した、異星人の来訪目的は、以下の様なものであった。

我々は、結局のところ、宇宙規模では、数十億年単位では、種族滅亡の危機に曝されている。40億年以内には、隣のアンドロメダ星雲と衝突する。50億年後には、太陽は爆発し、地球も呑み込む、赤色巨星化する。更には、138億年前にビッグバンから出現した宇宙は、膨張を続けている、そして、将来的には、膨張を続けるのか、はたまた、ある時期に突然、収縮し始めるのかもわからない。膨張を続けるならば、宇宙の物質の密度は減少し続け、事実上は、何も無い空間が、あるだけとなる、生命の生存は不可能になる。収縮を続けると、何れ、宇宙は、ある、極微の一点に。当然、生命の生存は不可能になる。このように、宇宙に生息する、全生命体は億年単位で考えると、数多の危機に直面している。たかだか、100年程度しか、生きられない生命体に、とっては数億年先のことなんて、どうでもいい。しかし、我々人類は、不死化技術を入手。億年単位で物事を実感として、捉えられる様になっている。たまたま、あの、異星人達は、我々を発見した。彼等にとっても、宇宙の未来は未知数。しかし、何れにせよ、一種族だけでは、対応できない、宇宙規模のプロジェクトが必用になる。その、プロジェクトの一員になって欲しい、という目的で彼は来たのであった。実際、彼の載って来た地球型宇宙挺は、見た目、質量こそ、地球製と同じであったが、中味は、別物。数万光年を瞬時に移動出来る、当時の地球人には想定外の装置であった。彼らは約束どおり、理論、技術を地球人に伝達した。

ならば、この命、捧げる事は、ただ一つ。大宇宙に対峙する人間存在として、そのプロジェクトに参画すること、私は決意し、参画することとなった。