ふたすじの道 尋常小学校

つねちゃんと私は、下校途中、おてーてーつーないでー、のーみーちーをゆけーばー!あ、家に着いた!つねちゃん!よって来!私?私は御屋敷の敷居を跨ぐ様な事は出来ん!何ゆーてるの?そんな事は考えない!うん。屋敷の門をくぐったら、従兄弟のしげぶにいちゃんが、けいちゃん!氷砂糖、親戚から、もらった!はい、あげる!三つ!ありがとう、兄ちゃん!おばちゃんは怒ってるみたい。つねちゃん!えーこと、思いついた!二人でな!井戸端に、行って、二つの湯のみに一個ずつ入れて、一個は半分に割って半々に入れた。これにな、ポンプで汲み上げたお水を入れて、ぐるぐるかき回して、暫く待と!うん あまー!美味しいなぁー砂糖水、氷砂糖水やねぇ!こんなぜーたく出来るとは、まぁまぁ、味わって!んーまいな!うん、んーまい!二人で湯のみを手にして、笑いながらのんだ。残った氷砂糖を、口に入れて、そしたらな?つねちゃんとこに、遊びに行こうか!え!まぁまぁ、行くかいな?行った。つねちゃんの家には、殆ど門も庭もない、扉の前にはコエタンゴ、臭い!ゴメンこれが常の家。扉に入るとお母ちゃんが出てきた。野良仕事帰りの泥の着いた顔と手足。!お嬢様!何故にこの様な、あばら家に?つねちゃんの友達だから。そーですか、汚いところですが、どうぞ!汚かった。けいちゃん、ゴメン、これが、私のうち。つねちゃん、そんなことない!みんながおんなじように人間。私は、この、おんなじようにを実現するために勉強するわ!けいちゃん!送ってく!こんなとこ、あんまりながいするとこでは!おててつーないで!山の端に映える夕焼けを見ながら、綺麗な!うん綺麗な!カラスも鳴いてるな!途中まで、つねちゃんが送ってれた。もういー!あとは一人で帰れるわ、つねちゃんはお母ちゃんのとこに帰り!私にはお母ちゃんは居ない、死んだ。つねちゃんが羨ましい!だから、ね! けいちゃん!ありがとう、気をつけてお帰りなさい。うん。すぐそこだし、大丈夫。

続く。