忍風 カムイ外伝の外伝 外伝

俺は抜け忍、追ってから、逃げて旅を続けていた。暑い。何も無い荒涼たる、地を歩いていた。村に着いた。茅の球が風に飛ばされ転がってゆく。誰も居ない・・・ 気が付くと、目の前に娘が俺に、粥とゆーより、湯に粟の浮かんだものを匙で運んでくれている。あ、お侍様、気付かれましたね。そなたは?あたいはアヤメ。お侍様が倒れてたんで、家に運んで、かいほうしてたんだよ。そうか、ありがとう。家?茅葺き屋根の掘っ立て小屋、隙間だらけ、俺はむしろの上に仰向けに寝ていた、アヤメが、俺の半身を起こし、お侍様、はい、あーんして、食べて下さいませ。いや、俺は侍では無い。元はといえば、お前達と同じ。でも、お刀を?刀?これは、短刀、いちばん短い刃、刀では無い。そうなの?でもね、身体が弱っている事にはかわりはないわ、食べて!うん。人の気配、茅の隙間から、見ると三人の男。カムイはこの辺りに、来ている筈、でも、腹減ったな。では、三人とも、吹き矢で飛んでいる雀を落とし、焼いて食べ始めた。あいつら、最近、ウロウロしてるんだよ、嫌な奴らさ、威張り散らしてさ!米と酒はあるか?うん、少しだけ、すまんが、分けてくれんか?いーよ。はい。欠けた茶碗に酒に米を入れて、しみ込ませ、爺さんに変身、奴らの前に出た。お侍様方、凄い吹き矢の腕前ですのう。しかし、わしの方が上手いですじゃ。なんだと!この、老いぼれ!まぁまぁ見てくだされ。酒のしみた米を地面に撒いた、雀が飛んできて、食って、酔って倒れる。俺はそれを拾い見せた。なるほど、じじいやるな!あはは、長生きすれば知恵もわくもんじゃて、でわな。 おい、今の爺さん、賢こ過ぎんか?もしや、カムイ?今頃、気付いたのか。俺はカムイ!勝負!霞斬りで、三人とも斬った。愚かな奴らよ、しかし、また、殺した。そして、追っ手はまた来る。この地を去る。カムイ!ずーっと、ここにいて!すまんが、俺は行かねば、さらばだ。カムイ!  歩き始めた、サヤカ! アヤメをサヤカの様に死なせる訳にはいかない。 俺は俺の道を行く、忍びの通る獣道を。