大阪の米軍の大空襲で、父母も家も焼け。15才の俺と5才の妹のシツコは親せきの叔母の家に引き取られた。叔母は俺達を厄介者扱い。耐えられず、シツコと、家出をした。お兄ちゃん?うちらどこに行くん?分からん!しかし、あんな、非人道的な、おばさんの家なんか出るんや!うん。海沿いに歩いて、2つ程向こうの岬の人気の無い洞窟に辿り着いた。石灰岩の白い岩に囲まれた海岸だった。ド真ん中には、特攻艇、回天の基地が建設中だった。そこから、少し離れた海岸の洞窟にシツコと暮らし始めた。竹で竿を作れば、でっかい魚も取れた、二人で焼いてたべた。兄ちゃん美味しい!シツコ、兄ちゃんはお前のその顔、言葉をきくだけで、頑張って生きていけるわ。うん。兄ちゃん、海辺には、茶色いゴキブリみたいな生き物がおる、気色悪い!あれはな、フナムシや!そーか?夜になって、洞窟に、フナムシが、入ってきた。食べた魚の残骸を求めてだろう。カサコソカサコソ。やー、お兄ちゃんこれ、何?懐中電灯で照らした、フナムシや!やー!きれーなー?かーいなー?ほんまけ?気色悪いだけやで。そんなこと無い!昼間は、茶色やけど、いまは、白くて、半分透明や!中のものも透けて見える、動いてるわ、かーいーな!そーけ?腸とかが、ぐにゃぐにゃ動いてるだけやんけ!そーか?うちにはかーいで!シツコは、一匹を捕まえて飼い始めた。フナコと名付けて可愛がっていた。お兄ちゃんなんで、フナコは、昼間は茶色で、夜は、透けるん?それはな、補色とゆーんや!昼間は、岩に紛れて、他の生物から、わからんようにして、食べられんよーにしてるんや。そーか!そしたら、食べれるんやな?まぁまぁ、食えん事も無いやろな。唐揚げにして食べよ!フナコ以外、はな。最近は魚も海軍はんに採られて少ななってきたし。ある日、盗んだ油を使って、少しばかりの魚を揚げて、シツコと食べた、お兄ちゃん足らへん!実はなうちな!こんだけとってん!網にフナムシがウジャウジャ入っている。これ揚げて食べよ!いやや!まぁまぁそーゆわんと!シツコは油に掘り込んで!後は言えません。シツコは段々と身体が衰弱してきました。その途中、フナコが死にました。お兄ちゃん、フナコはなんで動かんのん?死んだからや?死ぬってなんや?いつも食ってるやないか。いやや、死んだら嫌や!まぁまぁ、お墓作ったろ!うん。海岸の石をゴロゴロ積んで小山を、それを墓にした。周りには彼らが。何かアホらしかったけど、シツコと手をあわせた。ある日。終戦に。シツコは回復していった。白崎海岸から、海軍が去り、豊かな漁場がもどった。俺は恵那海岸の漁師となり、シツコは元気になり、嫁ぎました。しかし、あいつシツコ!