昔昔、今の三重県の津市に阿漕

という漁村がありました。そこに平治と言う若い漁師がおりました。彼の母は年老い、病の床についていました。おっかーを何とか元気にしてやらねえと。平治は思っていました、そこで、ある夜、伊勢湾に舟を漕ぎ出しました。伊勢神宮に奉納するための、御禁制のやがらと言う魚をとって、おっかーに食べさせると元気になるかもしれない、滋養強壮に効果があるとゆわれとるべ。で平治は伊勢湾でやがらを釣り、おっかーに食べさせました。すると、おっかーはいきなり元気になりはじめました。

で、平治は翌日も、翌々日も夕やみに隠れて、おっかーのために、やがらをとり続けました。おっかーは日に日に元気になってゆきました。平治は来る日も来る日もやがらをとりに禁漁区に舟を出しました。