FRAU 7

もうすぐ、土曜日の朝、妻は静かに寝息をたてて、眠っている、愛おしい寝顔。朝からは家族で、レゴランドでもと云う予定。私は幸せなのかも知れない。美しい妻、賢い子達、幸せな家庭。各々が、自分の成すべき事を成し、夕に集い、朝に分かれ、また、夕べの食を囲み集う。私は内科医、自らを研き、成果も出し、常勤医として働く。その病院では欠かせない医師のようだ、事実、副院長は私が辞めたら、私も辞めるからね、みたいな事を、理事長に言ったらしい。しかし、私は、何れ、大学に戻り、臨床と研究を続ける。博士号も取得は確実。副院長は私が去った後?まぁ彼は生命力の強い人、何とかする筈。しかし、今の幸せ、揺るがぬものだろうか?私も何れ老い、やがては死も迎える。私も妻も子達も。幸せ?ひとかたの夢、泡の如きものかな。そう、副院長が言っていた、今ですよ!今が良かったら、それで良い!死?考えないね、と。彼は、思索家なのかもしれないと、時として、思う。私は、静かに考えていよう。妻の寝顔を見ながら、また、眠りにつけそうだ。